平成29事務年度 金融行政方針(金融庁)と事業性評価

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平成29事務年度金融行政方針と 事業性評価

事業性評価セミナー開催情報
※本セミナーは終了しました。 

 私(知財経営研究社 代表)が企画部長を務めております、 城西コンサルタントグループ が、金融庁の日下智晴様(『捨てられる銀行』に登場する方です)をお招きして、 事業性評価 に関する講演会(セミナー)を開催いたします。
 開催日は2017年12月20日です。
 お申込み頂ける方は、地方銀行と信用金庫・信用組合の方です。
 詳しくは、こちらをご覧ください

金融庁 平成29事務年度 金融行政方針とは

 
 金融庁の 平成29事務年度の金融行政方針 が公表されました。

 事業性評価に関しては、次のような記載があります。

 金融庁は、4年前から、金融機関の将来にわたる健全性の確保に重点を置く一方で、 個別の資産査定については原則として金融機関の判断を尊重し、「事業性評価」に基づ く融資への転換を促進すること等に取り組み、その考え方を金融行政方針等で逐次示し てきた。こうした新しい手法の浸透・定着を図るため、検査・監督のあり方の見直しの全体 像を十分に整理された形で提示する必要がある。

 金融庁は、こうした認識の下、これまで、「事業性評価」に基づく融資や本業支援の促進、「企業ヒアリング・アンケート調査」の実施(「日本型金融排除」の実態把握を含む)や、 「金融仲介機能のベンチマーク」(2016 年 9 月策定・公表)等の客観的な指標を活用した 自己評価や開示の促進などに取り組んできたところである。

 KPIや企業アンケートの調査結果等を活用しつつ、地域金融機関の事業性評価 に基づく融資や本業支援等の組織的・継続的な取組みについて、優良な取組みを 実践している金融機関の表彰・公表を行う。

 地域経済の活性化に向けて、事業性評価に基づく融資や本業支援の重要性は 認識しつつも、専門人材やノウハウが不十分なために顧客企業の真の経営課題 が把握できず、その解決に向けた方策の策定や実行支援ができていない地域金 融機関が少なからず存在しており、このような金融機関はその改善に向けた取組みに注力することが重要と考えられる。


平成28事務年度 金融行政方針について

 金融庁は、平成28年10月に、「平成28事務年度 金融行政方針」を公表しました。
 これは、民間の者にとりましては、平成28年度から平成29年度にまたがって影響を及ぼすものとなっています。

 平成28事務年度金融行政方針において、事業性評価に関連する記述には以下のようなものがあります。

◆ 金融仲介機能の十分な発揮と健全な金融システムの確保等
 これまで当局としても、金融機関に対し、担保・保証に過度 に依存することなく、取引先企業の事業の内容や成長可能性等を適切に評価(「事業性評価」)するよう促してきた。
 特に我が国の GDPの7割強を占めるサービス業については総じて生産性向上の余地が大きく、金融機関が事業性評価を通じて、企業に有益なアドバイスとファイナンスを行い、(金融機関にとっての)顧客の企業価値の向上を実現することは可能である。
 企業価値の向上は、経済の発展や従業員の賃金上昇による生活の安定に貢献するものであり、結果として金融機関自らの経営の持続性・安定性にも寄与すると考えられる。
 このような顧客との「共通価値の創造」の重要性は多くの金融機関で既に認識されており、多くの金融機関が明らかにしている経営理念等にもこうした考え方は盛り込まれている。
  しかしながら、経営陣の意識や実際の現場の取組みの深度には、金融機関によってバラツキがあるのもまた事実である。
 本事務年度においては、こうした金融機関の取組みについて当局としてより包括的に実態把握を行うとともに、2016年9月に公表した「金融仲介機能のベンチマーク」等を活用しつつ、金融機関の自己評価を促す。
  また、金融機関の取組みの実態把握、「金融仲介機能のベンチマーク」等の客観的な指標等を活用し、ガバナンス、業績目標・評価、融資審査態勢等を含め、金融仲介の質の向上に向けて、経営陣と深度ある対話を実施する。
 さらに、顧客自身が自らのニーズや課題解決に応えてくれる金融機関を主体的に選択することを可能とするため、金融機関の取組みについての顧客に対する積極的な情報提供に向けて環境を整備する。こうした環境整備は、良質な金融サービスの提供に向けた金融機関間の競争の実現にもつながるものである。

◆ 「日本型金融排除」の実態把握
 与信判断における審査基準・プロセス、担保・保証への依存の程度(事業性評価の結果に基づく融資ができているか)

◆ 開示の促進等を通じた良質な金融サービスの提供に向けた競争の実現
 金融機関の事業性評価に基づく融資や本業支援等の組織的・継続的な取組みについて、優良な取組みを行っている金融機関を公表・表彰する。


 上記について、要点をまとめてみますと、次のようなことだろうと思います。

 ① 金融庁としては、事業性評価の推進が必要と考えている。
 ② 金融機関による事業性評価の取り組みは、金融機関の顧客企業の発展や企業価値の向上に資するため、金融機関の経営にとってもメリットをもたらす。
 ③ 企業側においては、事業性評価のニーズがあるため、事業性評価に前向きな金融機関を企業側が選びやすくする必要がある。
 ④ 上記③の目的で、金融仲介機能のベンチマーク等を活用する。
 ⑤ 金融庁としては、事業性評価に関する、金融機関どうしの競争を促していく。

 金融機関が事業性評価を行うにあたっては、取引先とその事業の目利きの能力が問われることになります。

 一方で、金融庁が「金融行政方針」で言及している、優良な取組みを行っている金融機関を公表・表彰するということは、金融庁もまた、金融機関の取組みについての目利きの能力が問われることになります。
 現実的には、有識者とされる方を集めて評価してもらうといったことをするしかないような・・?
 そもそも、「優良な取組み」を定義し、評価基準を設けることも簡単ではなさそうです。


 ところで、金融行政方針においては、「企業価値の向上」という言葉が頻出しています。しかしながら、この「企業価値の向上」とはどのようなことを指すのか、具体的ではありません。

 そこで、勝手に申し上げますと、中小企業における「企業価値の向上」とは、ローカルベンチマークで示している、次の指標・視点について、より好ましい状態にすること、と解釈するのがいいのではないかと考えています。

 ローカルベンチマークの6つの指標(財務情報)
 ①売上高増加率(売上持続性)
 ②営業利益率(収益性)
 ③労働生産性(生産性)
 ④EBITDA有利子負債倍率(健全性)
 ⑤営業運転資本回転期間(効率性)
 ⑥自己資本比率(安全性)

 ローカルベンチマークの4つの視点(非財務情報)
 ①経営者への着目
 ②関係者への着目
 ③事業への着目
 ④内部管理体制への着目


 産業政策と金融政策は、目的の共通化を図りシナジー効果が発揮されるように推進して頂くのがいいと思います。

平成29事務年度 金融行政方針事業性評価セミナー

 私(知財経営研究社 代表)が企画部長を務めております、 城西コンサルタントグループが、平成29年9月上旬~中旬頃に金融庁の方をお招きして、 事業性評価 に関する講演会(セミナー)を開催する方向で準備を進めておりました。
 しかしながら、平成29年度の金融行政方針の公表が近い時期であることから、日程を先延ばしして再調整することとなりました。平成29年度中には実施したいと考えています。

 もし本セミナーが実現しましたら、平成29事務年度の金融行政方針を踏まえた内容のお話を頂けるのではないかと考えております。


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