新市場創造型標準化制度 ~中小企業の標準化戦略の実践に~

新市場創造型標準化制度とは

 新市場創造型標準化制度とは、中小企業等が開発した優れた技術や製品を販売するにあたって、市場での信頼性向上や差別化などの有力な手段となる、性能の評価方法等の標準化を支援する制度です。

 技術に革新性があるほど、顧客での使用実績はなく、その技術を客観的かつ適切に評価することは難しくなります。こうしたことが、中小企業が新市場を創造するにあたって、壁となって立ちはだかることが少なくありません。

 こうした「壁」を乗り越え、ビジネスを切り開くための有力なツールが「標準化」です。

 標準化・規格化を行う場合、通常は業界団体を通じたコンセンサスが求められます。
 これを中小企業がリーダーシップをとって進めていくことは、容易ではありません。
 新市場創造型標準化制度では、業界団体を通じたコンセンサスを必要としません。
 このため、本制度が活用できれば、迅速な国際標準提案やJIS化が可能になります。

新市場創造型標準化制度


 ただし、どのような技術であっても、この制度が適用されるものではありません。

 独創的で特徴が際立っており、事業としての将来性が求められることでしょう。

 例として、大成プラス株式会社様のNMT(ナノモールディングテクノロジー)を挙げます。
 NMTも独創的・革新的な技術であるため、顧客としても客観的な評価が行うことができず、大成プラス様が顧客に紹介しても、興味を持ってもらってもなかなか採用してもらえないという時期があったということです。

 NMTの評価方法のISO国際標準化への取り組みは、新市場創造型標準化制度の前身の「トップスタンダード制度」があった頃から進められました。

 大成プラス株式会社様の標準化戦略への取り組みを、月刊誌「プラスチックス」の2017年6月号にて紹介しました。

 標準化の制度は、知的財産権の制度とよく似た効果をもたらす場合があります。
 うまく利用することができれば、競合に対して参入障壁を築くことができますが、反対に無関心でいるなどしますと、市場から自社が排除されてしまいます。

大成プラス(株)様の取材記事の連載(知財戦略・標準化・経営力向上)


 平成29年7月31日に経済産業省より、”「新市場創造型標準化制度」を活用した標準化案件を決定しました”という発表がありました。

 新市場創造型標準化制度は、 中小企業が標準化戦略を実践するための、とても有用な制度です。


「新市場創造型標準化制度」の活用が決定されたテーマの概要
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