知財ビジネス評価書は、知的財産の評価もしっかり行う、事業性評価の報告書です。
知財ビジネス評価書の作成支援は、経産省の「中小企業知的財産金融促進事業」の予算で運営されています。
この事業は特許庁が金融庁と連携しながら進めているとのことです。
産業政策と金融政策は、相乗効果を発揮するように進めて頂くことが好ましいと思います。
私(知財経営研究社 代表)としては、知財ビジネス評価書は、経済産業省が示した、ローカルベンチマークをベースとして、知的財産の評価の内容を付加するものとするのが政策上は好ましいと考えております。
ローカルベンチマークは、知的資産経営報告書などの内容も踏まえて作成されています。
知財ビジネス評価書の評価機関は、知的資産経営報告書の作成経験を有するところも多いと思いますので、違和感はないはずです。
知財ビジネス評価書のサンプルも、知的資産経営報告書の一般的な書式や内容を踏まえているものもあります。
知的財産を前面に出し過ぎると、金融機関や中小事業者が、恐らくはついてこれません。
結局は「情報の非対称性」も解消されず、金融機関や中小事業者を知財ビジネス評価書の作成支援事業の顧客と見た場合、これは金融庁のいう「フィデューシャリー・デューティー」(顧客本位)にそぐわないことではないかと思います。
ローカルベンチマークは、普及すれば、事業性評価にも使えるいいツールになると思います。
また、ローカルベンチマークのデータが蓄積されれば、まさに公共のベンチマーク情報にもなると思います。
金融機関が自主的にローカルベンチマークを採用することもできるはずです。
一方で、知財ビジネス評価書の作成支援は、公的資金の投入が継続されなければ、普及は難しいとみております。
そこで、知財ビジネス評価書の作成支援事業は、ローカルベンチマークの普及にも一役買って頂くように進めて頂くのがいいのではないでしょうか。
知財ビジネス評価書の作成支援が、ローカルベンチマークをベースにすれば、ローカルベンチマークの部分の内容だけは、金融機関や中小事業者が後から読み直しても、自力で十分に理解できるものになると思います。
金融庁は、金融仲介機能のベンチマークにおいて、ローカルベンチマークの活用を「選択ベンチマーク」の中に盛り込んでいます。
経済産業省は、ローカルベンチマークを普及させるためにはもうひと工夫が必要だろうと思います。
ローカルベンチマークが活用されるようになるには、金融機関が自主的に使いたいと思うようになることがカギではないかと考えております。
このため、知財ビジネス評価書の作成支援を絡めて、金融機関に対してローカルベンチマークの普及を図ることは手段の1つではないかと思います。
※ローカルベンチマークと金融仲介機能のベンチマーク
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